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鎮魂の風 優しく 原爆死没者名簿112冊 広島市中区

 梅雨入りを前に、広島市は17日、中区の平和記念公園で、原爆慰霊碑に納めた112冊の原爆死没者名簿を外気に当てて湿気を取る「風通し」をした。

 原爆投下時刻の午前8時15分、市職員20人が黙とうし、作業を開始。石室から1冊ずつ取り出した名簿を碑前に敷いた白い布の上に並べた。そよ風が時折吹く中、和紙のページを一枚一枚丁寧にめくりながら、傷みがないか確認した。

 平和学習で見学した近くの本川小5年日原瑚心(ここ)さん(10)は「原爆で大勢の罪のない人が亡くなられた。これからも平和を学んで世界中に伝えていきたい」と話した。

 名簿のうち110冊に、昨年8月5日までに亡くなった広島の被爆者30万3195人の名前や死没年月日を列記。別の1冊に遺族が望んだ長崎原爆の被爆者9人を載せ、残る1冊に「氏名不詳者多数」と記す。

 市は作業後、清掃した石室に名簿を順次戻した。広島の最新の1冊と長崎の1冊は取り置き、昨年8月6日以降に亡くなるか、死亡が確認された被爆者の名前を来月上旬から記帳し、ことし8月6日の平和記念式典で納める。(伊藤友一)

(2017年5月18日朝刊掲載)

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