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再編交付金 延長・増額へ 岩国基地 政府「前向き検討 確約」

 米海兵隊岩国基地(岩国市)へ7月以降、空母艦載機61機が移転する計画に絡み、国は17日、同市や山口県が要望していた地域振興策などの回答を示した。2022年度までとなっている市町向けの米軍再編交付金の期間延長と増額について「前向きに検討することを確約する」とした。

 岸信夫外務副大臣と宮沢博行防衛政務官が岩国市役所と県庁を訪れ、福田良彦市長や村岡嗣政知事たちに伝えた。岩国基地関連の再編交付金は08年度から岩国、大竹両市と山口県和木、周防大島両町の4市町に支給されており、23年度以降も続く見通しとなった。

 国側はこのほか、岩国市からの要望に回答。岩国南バイパス南伸は国土交通省が今月22日に有識者会議を開き、概略ルートと構造の具体的な検討に着手。家屋全体の住宅防音工事の対象区域を18年度、従来のうるささ指数(W値)85以上から80以上に広げる。

 市が18年度からの実施を目指す小中学校の給食費無料化や、防犯灯・カメラの設置も財源確保に取り組むという。国立病院機構岩国医療センター跡地(同市黒磯町)の活用支援も続けるとし、「地元からの要望は今後もできることは全て行う」と強調した。

 福田市長は21、23日に市内4会場で開く住民説明会で、この日回答のあった地域振興策や安心安全対策43項目の達成状況を示し、市民の意見を聞く。31日には市議会全員協議会で議員にも同様の説明をし、6月の市議会定例会で艦載機移転の是非を表明する方針。

 一方、県議会と4市町議会の議員でつくる協議会が求めていた、県向けの交付金拡充や基地周辺の振興を図る特別措置法の制定などは、25日に国が回答するとみられる。(松本恭治)

普天間「見通し立った」岩国市長

 米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転計画を巡り、岩国市の福田良彦市長は17日、受け入れ判断の前提とする米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設見通しについて「見通しは立った」との見解を表明した。地域振興策などに関する国との会合後、報道陣の取材に答えた。

 艦載機移転に関し、市には、①基地周辺住民の生活環境の悪化②陸上空母離着陸訓練(FCLP)の実施③普天間移設の見通しが立たないうちに移転を進めること④基地のこれ以上の負担増―は、いずれも認められないとの基本スタンスがある。普天間移設の見通し以外は既にクリアしたとしており、これで四つの前提条件が整った。

 福田市長は14~16日の沖縄訪問で、政府が普天間飛行場の移設先とする名護市辺野古沿岸部の視察などをした。現場の埋め立て工事の状況や国からの説明を踏まえ、「客観的に判断すると(普天間移設の)見通しは立っていると言える」と述べた。沖縄県知事や名護市長が辺野古移設に反対している点については「普天間の危険性除去の考えは共通している」とした。

 艦載機移転を巡っては、山口県も普天間移設の見通しが立つことを受け入れの前提条件とする。村岡嗣政知事はこの日、報道陣の取材に「普天間移設の動向や国の対応を踏まえ、移転の是非と合わせて判断したい」と述べた。(松本恭治、和多正憲)

(2017年5月18日朝刊掲載)

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