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岩国市長や知事 一定評価 艦載機移転 国が振興策回答 騒音懸念 拡充求める声相次ぐ

 米軍が7月にも開始するとしている岩国市の米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転計画に絡み、市や県が要望していた地域振興策などについて17日、国から回答が示された。市や県、基地周辺町の首長たちは国の姿勢を一定に評価した一方、さらなる支援の充実を求める声も相次いだ。(馬上稔子、佐藤正明)

 岩国市役所であった市と国側の会談。米軍再編交付金の延長・増額、住宅防音工事の対象拡大、小中学校の給食費無料化…。宮沢博行防衛政務官が市の要望に対する国の対応を次々と提示し、福田良彦市長は「前向きな回答をいただいた。着実に進展すると受け止めた」と評価した。

 ただ、福田市長が具体的な財源措置の方法を尋ねると、宮沢政務官は「市の事業計画を踏まえ、確保できるよう取り組みたい」などと述べるにとどめた。

 同席した市議会の桑原敏幸議長たちは、岩国南バイパス南伸の早期実現や、子どもの英語教育の推進などへの協力を要望。福田市長も「基地が存在する限り負担は続く。協力する市の姿勢に、引き続き向き合ってほしい」と訴えた。

 岩国市に先立ち、県庁で県や基地周辺町への説明があり、村岡嗣政知事は「地元市町の要望を真摯(しんし)に検討いただいた」と国の回答に理解を示した。一方、県向けの交付金拡充や基地周辺の振興を図るための特別措置法制定について「前向きな回答を」と注文した。

 和木町の米本正明町長は「もう少し踏み込んだ回答を期待していたが、いただけず大変残念」と発言。周防大島町の椎木巧町長は移転後の騒音に対する町民の懸念を説明し、「負担を上回る地域振興策を示す必要がある。特段の配慮をお願いしたい」と訴えた。

 これに対し、艦載機移転に反対する岩国市の市民団体「愛宕山を守る会」の岡村寛世話人代表は「金をちらつかされ、市側は国の思い通りに動かされていると感じる。市の基地依存がどんどん進んでしまう」と市の対応を批判した。

<艦載機移転計画に絡む地域振興策の主な要望と回答>

地域振興策などの要望       国の回答
米軍再編交付金の延長・増額    前向きに検討することを確約
岩国市での住宅防音工事の対象拡大 家屋全体の工事対象区域を2018年度か                  ら80W以上に拡大
騒音測定器の設置         周防大島町などで、できる限り早期に
岩国南バイパスの南伸       22日に有識者会議を開き、概                  略ルートや構造の検討に着手
岩国医療センター跡地の活用支援  今後も市と調整しながら事業を進める
岩国市の小中学校の給食費無料化  市の事業計画を踏まえ、財源確保に取り組                  む
岩国市での防犯灯・防犯カメラ設置 市の事業計画を踏まえ、財源確保に取り組                  む
県向けの交付金拡充など      引き続き検討する(25日に回答見通し)

※Wはうるささ指数

(2017年5月18日朝刊掲載)

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