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学生が伝える原爆小頭症 広経大で体験聞くワークショップ始まる 被害実態を短編動画に

 原爆小頭症患者に大学生たちが話を聞き、半生を短編動画にまとめるワークショップが20日、広島経済大(広島市安佐南区)で始まった。動画はインターネットで公開し、原爆被害の実態を後生に伝える。(川上裕)

 聞き役は広島経済大の3、4年生と名古屋大大学院の学生12人。患者と家族、支援者たちでつくる「きのこ会」の会員たちから説明を受けた。母親の胎内で被爆し、約半年後に生まれた吉本トミエさん(71)=安佐南区=は「手足が痛くなることが増えた。今も苦しんでいる人がいることを分かってほしい」と訴えた。

 約2時間のインタビューの間、学生は「今の願いは」「若い世代に伝えたいことは」などと質問。吉本さんは、元夫の家族から嫁として認めてもらえなかった体験を打ち明け「娘に幸せになってもらいたい」と心情を語った。

 学生は21日、聞き取った話を吹き込むとともに、内容に合わせて吉本さんの昔の写真を選び、約2分間の動画に仕上げる。

 人々の日常を短編動画にまとめる手法を共同研究している広島経済大の土屋祐子准教授と名古屋大大学院の小川明子准教授が企画した。学生に原爆の被害や記憶の継承の大切さを理解してもらう。

 広島経済大4年の上川淳平さん(21)=呉市=は「語り手の感情が後生に伝わる動画にしたい」と意欲をみせていた。

(2017年5月20日朝刊掲載)

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