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「不安」「仕方ない」交錯 艦載機移転 岩国市が住民説明会 市、ミサイル想定訓練検討

 「基地が攻撃されたら市民の命を守れるのか」「財源確保のためなら仕方ない」―。米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転計画を巡り、市が21日に市内3カ所で開いた住民説明会。参加者からは、移転によって地域が抱えるリスクとメリット双方の意見が交錯した。(松本恭治、加田智之、馬上稔子)

 美和町の会場では45人が参加。移転を念頭に中山間地域への振興策などを求める意見が続いた後、「今以上に北朝鮮から攻撃の標的にされるのでは」と危惧する声が出た。福田良彦市長は「不測の事態に備え、ミサイル発射を想定した訓練を考えている」と明かした。

 艦載機移転に絡み、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設見通しが立ったとした福田市長の発言を疑問視する声も。福田市長は「沖縄の人々の感情にも配慮しながら、移設先の工事が進んでいる状況などから客観的に発言した」と理解を求めた。

 続く周東町では91人が参加。美和町の会場と同様、北朝鮮による弾道ミサイル攻撃に対する不安の声が寄せられた。

 移転に伴い、岩国基地の米軍機は倍増の約120機となり、米軍人や軍属は1万人を超える。「爆音も、市民の不安も増す」と明確に反対する意見があった一方、「グローバル感覚や英語力を磨く機会になる」「子育て支援などの財源確保につながるなら」との受け止めも聞かれた。

 由宇町の会場には79人が集まった。艦載機移転により、騒音被害の拡大が予測される神東地区の住民は「爆音に悩まされ、墜落の危険におびえながら生活している実態を現地で確認してほしい」と迫った。

(2017年5月22日朝刊掲載)

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