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防衛省など資金提供の研究協力 山口大 8項目の指針 軍事応用 抜け道指摘も

 山口大は、防衛省などから資金提供を受ける研究協力に関するガイドラインを作った。基礎的研究で、軍事目的でないと明確に判断される内容に限る前提で、さらに8項目をチェックし、大学が認めれば協力申請ができるとしている。

 チェックする8項目は、研究成果が特定秘密の保護に関する法律に指定される可能性はない▽企業などによる軍事目的の研究との関わりはない▽資金提供元による過度な干渉を受けず研究を進めることが見込まれる―など。注釈には「研究成果の軍事用途は直接的に想定されない」との前提を示している。

 同大にはこれまで内規などはなかった。軍事応用が可能な基礎研究に助成する防衛省の公募制度ではこれまで2015年度に同大では1件応募があったが、不採択だった。国内の科学者でつくる日本学術会議がことし3月、「大学などは軍事的安全保障研究の適切性を審査する制度を設けるべきだ」と声明を出したことなどを受けて協議し、今月9日付でまとめた。

 堀憲次副学長(62)は「個人の自由な研究を阻害せず、かつ軍事目的での研究をさせないためのガイドライン。研究成果を第三者が軍事用途にするかどうかは止められない」とする。

 これに対し、大学が軍事研究に関わることに反対する日本科学者会議山口支部の代表幹事で同大の増山博行名誉教授(69)は「明確に軍事目的でないものとしているが、注釈などをみると、抜け道となる可能性のあるガイドラインだ」と批判している。(川村奈菜)

(2017年5月26日朝刊掲載)

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