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峠三吉 平和希求の足跡 生誕100年 市民ら29人ゆかりの地巡る

 原爆詩人の峠三吉(1917~53年)ゆかりの地を巡るフィールドワークが27日、広島市内であった。峠の生誕100年に合わせ、広島文学資料保全の会などが企画。峠が晩年に暮らし、老朽化などのため市が解体を決めている平和アパート(中区)などを訪ねてその足跡に思いをはせ、次代に伝える大切さをかみしめた。(石井雄一)

 市民たち29人が参加。平和アパートでは同会の池田正彦事務局長(70)が、峠の「原爆詩集」に収まる詩を刻んだ詩碑などを案内した。同会は戦後復興のシンボルとして建物を保全・活用するよう求めており、池田事務局長は「ここから原爆詩集が生まれた。峠の人生を肌で感じる場所が必要」と強調した。

 このほか、峠が被爆時に住んでいた南区翠町周辺や、目の当たりにした惨状を詩「倉庫の記録」につづった同区の旧陸軍被服支廠(ししょう)も回った。当時の峠を知る被爆者の切明千枝子さん(87)は「物言いが穏やかで、自然に人が慕うような方だった」と語った。

 同会と、東京都内で連続講座「ヒロシマ」を開いている竹内良男さん(68)の主催。

(2017年5月28日朝刊掲載)

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