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島根原発 2号機審査 3ヵ月なし 断層長さ 議論滞る

 原子力規制委員会による中国電力島根原発2号機(松江市)の審査会合が3カ月間、開かれないままになっている。近くにある宍道断層の東端の場所が決まらず、断層の長さの議論が滞っているためだ。中電は規制委に断層が長くならない理由を説明できておらず、再稼働への道のりは険しくなっている。(河野揚)

 島根2号機の新規制基準への適合性を審査する会合は、2月17日以降開かれていない。3カ月間開かれなかったのは、2013年12月の審査申請後で初めて。規制庁の担当者は「今後の開催予定も現時点で入っていない」としている。

 原因となっているのは宍道断層の長さの問題だ。中電は長さが25キロで東に延びないと主張しているが、規制委はその根拠を詳しく示すように求めている。

 議論のきっかけは、政府の地震調査研究推進本部が昨年7月に発表した「宍道断層の長期評価」。新たに地下の構造を調べ、断層の長さを「約21キロもしくはそれ以上」とした。同本部の担当者は「東に延びる可能性がある。ただ詳細なデータが不足して活断層かどうかは分からない」とする。

 中電は昨年1月、宍道断層の西端を延ばして評価を22キロから25キロにすると表明し、規制委も1度は25キロで了承していた。だが、同本部の発表を受け、規制委は再び断層の長さに議論を戻した。ある規制庁幹部は「新たな知見が出てくれば、すぐに取り入れていく」と強調する。

 宍道断層の長さが決まらなければ、設備の耐震設計の目安となる「基準地震動」が固まらず、審査が進まない。規制委によると、中電が過去の調査データを使って、活断層が延びない根拠を整理して示せるかが今後の鍵になるという。

 同じ沸騰水型軽水炉(BWR)では、基準地震動が固まった東京電力柏崎刈羽6、7号機(新潟県)と日本原子力発電東海第2(茨城県)が先行し、島根2号機は審査の遅れが際立つ。

 中電の清水希茂社長は4月28日の記者会見で「宍道断層評価の論点は絞られてきており、大詰めにきている感触を持っている。一日も早く審査の許可をもらえるように全力で取り組む」と述べた。それから1カ月。停滞感は強まっている。

(2017年5月28日朝刊掲載)

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