×

ニュース

非核地帯の拡大訴え ブックレット 中部大が出版

 愛知県春日井市の中部大が刊行するブックレットシリーズの一冊として、「非核地帯―核世界に対峙するリアリズム」=写真=が出版された。同大の福島崇宏・非常勤講師が著者。南半球を中心に、北半球にも広がってきた非核兵器地帯の拡大を訴えている。

 福島さんは愛媛県出身の国際法学者。2007年の博士論文を基に、核拡散防止条約(NPT)の形骸化や北朝鮮の核・ミサイル開発など最近の状況も織り込んで再構成した。核保有国と非保有国の溝が深まる中で、「非核地帯の拡大こそ現実的な事態打開につながる」という前提に立つ。

 それを検証するために、キューバ危機を背景に冷戦時代の1967年に調印され、2002年に域内全ての国が批准を終えた中南米の非核兵器地帯条約「トラテルロコ条約」を詳細に論じた。さらに5地域に広がった非核地帯の現状と課題を分析している。

 そして北朝鮮情勢を踏まえ、「北東アジアに非核地帯を創設することは、核兵器による攻撃および偶発的事故による恐怖を除去する観点からも必要不可欠」と指摘したのが目を引く。

 発売元は名古屋市の風媒社でA5版、105ページ、800円(税別)。

(2017年5月29日朝刊掲載)

年別アーカイブ