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丸木夫妻 創作の足跡 写真家の本橋さんが「位里と俊」 アトリエや食卓 日常写す

 夫妻で合作した「原爆の図」で知られる広島市出身の画家丸木位里(1901~95年)と、俊(1912~2000年)。「原爆の図丸木美術館」のある埼玉県東松山市を拠点に、創作に明け暮れた日々を記録した写真集「位里と俊」が刊行された。

 写真家の本橋成一さん(77)が80年代半ばから90年代前半にかけて撮影したモノクロ作品138点を収録。開館50周年を記念し、同館で7月17日まで開催中の「本橋成一写真展 ふたりの画家」に合わせて企画された。

 同館そばのアトリエで絵筆を執る姿や、庭を手入れしたり、飼い犬や猫と戯れたりするさま、くつろいだ食卓の風景などを捉えている。毎年8月6日に同館で開く被爆者追悼の行事「ひろしま忌」や、沖縄での滞在制作の様子も伝える。

 日々の創作や暮らしを巡る感慨、原爆や戦争への思いを語った夫妻の言葉、美術評論家の椹木野衣さんや芸術家の奈良美智さんたちが書き下ろした寄稿文も掲載した。

 「二人は常に、自分の言葉で自らの生き方を語っていた」と巻末に記す本橋さん。自然体で暮らした丸木夫妻の人となりが、多くの人を引きつける芸術表現を生み出したのだと実感させられる。

 112ページ。オフィスエム刊。2376円。(鈴木大介)

(2017年6月21日朝刊掲載)

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