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協力要請 49%未返答 福島原発事故 疫学担当者が会議

 福島第1原発事故後に緊急作業に当たった人を対象に放射線被曝(ひばく)の影響を調べる疫学的研究の担当者会議が21日、東京都内であった。研究を主導する放影研が調査への協力を求める書類を送った約2万人の約半数から、まだ返事がない現状が報告された。

 放影研は国の委託を受け、2011年3月の事故発生から同12月までの間に作業した1万9643人を対象に調査している。協力を了承した作業員の健診データを、全国74の健診施設や医療機関を通じて集めている。この日の会議には、健診施設などの保健師たち68人が出席した。

 放影研の担当医師の説明によると、16年度末までに協力する意向を示した対象者は5495人(28・0%)で、2705人(13・8%)が拒否した。返事がない人は9653人(49・1%)に上り、宛先不明者も1613人(8・2%)に上る。このほか、亡くなるなどした人がいる。

 放影研は本年度、作業員の派遣会社に出向くなどし協力してくれる人を増やしたい考え。会議で大久保利晃前理事長は「大規模で正確な調査が続けられれば新たな知見を得られる可能性も高まる」と協力の継続を訴えていた。(田中美千子)

(2017年6月22日朝刊掲載)

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