×

ニュース

震災避難者 交流育み3年 「アスチカ」西区の拠点 地元と連携強化 開所日増

 東日本大震災を機に県内へ避難した人でつくる「ひろしま避難者の会アスチカ」の交流拠点「たねまく広場」(広島市西区三篠町)が、開設3周年を迎えた。広島への定住を選ぶ会員が増える中、地域での孤立を防ごうと今月から新たに開所日を増やし、地元住民と触れ合う機会を拡大する。(奥田美奈子)

 広場はJR横川駅近くのビル1階にある。約60平方メートルに東北地方の地方紙や自治体の広報誌が並び、談話スペースもある。故郷へ帰還するかの迷い、避難生活の苦労などを分かち合える場として定着。趣味の小物作りなどのイベントも開き、2014年6月の開設以降、延べ3千人が利用した。

 福島県から市内へ移り住んだ30代の女性は「避難してしばらく、顔見知りもいない生活で苦しかった。親身に話を聞いてくれる人がいる、心のよりどころ」と感謝する。

 新たに開所するのは、第2・4木曜日と第3土曜日。鍵の開け閉めなどの当番に、広島土砂災害の被災地で復興支援を続ける市民団体「若者活動サポートセンターあおぞら」のメンバーが加わり、実現した。

 あおぞらの共同代表の秦野英子さん(51)=安佐北区=は「地元住民が運営に加わることで、子どもの遊び場やお薦めの店など日常に役立つ情報を伝えられる」とみる。新たな交流行事も始める考えだ。

 アスチカが会員112世帯を対象に3月にまとめたアンケートによると、避難先へ定住するとの回答は過去最高の45・0%だった。理由には「家を建てた」「子どもが生活に慣れた」「仕事の都合」などが挙がる。

 一方、地域での孤立など不安を訴える声もある。代表の三浦綾さん(44)=安芸区=は「避難者から生活者へと立場が移りつつある中、地域社会での孤立を防ぐ手だては急務。地元の人との連携を深め、会員がより地域へ溶け込めるように後押ししたい」と話す。

(2017年6月23日朝刊掲載)

年別アーカイブ