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[核なき世界への鍵] 前文に「威嚇も違法」 条約交渉会議 議長が修正案

 米ニューヨークの国連本部で開催中の「核兵器禁止条約」の制定交渉会議で、ホワイト議長(コスタリカ)が21日、前文の修正案を示した。核兵器のいかなる使用も国際人道法などの今の国際法原則に反するとしていた一節に、核兵器の威力をちらつかせる「いかなる威嚇」も同じく違法だと併記。核抑止力の否定をより押し出した。(ニューヨーク発 水川恭輔)

 草案は前文も条文も威嚇に触れておらず、一部の国や非政府組織(NGO)から明記を望む声があった。修正案は「核軍縮の遅さ」「核に頼る安全保障の継続」「核兵器の近代化」などに憂慮すると記す段落も追加。交渉に不参加の核保有国や「核の傘」の下にある国の政策を一層問う内容になった。

 被爆者の「苦しみ」は、「苦しみと耐えがたい害」の表現に強めた。核実験が繰り返され、核兵器の非人道性を国際社会に発してきた米国やオーストラリアの先住民の核被害も加えた。

 一方、核拡散防止条約(NPT)の重要性の記述に、核不拡散・核軍縮・原子力の平和利用という「3本柱」が要だとのくだりを追加。禁止条約がNPT体制の「平和利用」を制限しないよう求める一部の国への配慮とみられる。

 会議はこの日午前で草案の全21条まで一通りの意見交換を終え、午後から非公式協議に入った。明示するか賛否が割れる、核兵器に関わる融資などの禁止事項や保有国の参加規定などの議論を深めるとみられる。

(2017年6月23日朝刊掲載)

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