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岩国市長 移転容認を表明 米艦載機 基地 極東最大級に

 米海兵隊岩国基地(岩国市)へ7月以降、米海軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機61機が移転する計画について、岩国市の福田良彦市長は23日の市議会本会議で「熟慮した結果、受け入れることとする」と述べ、容認を表明した。在日米軍再編計画に日米両政府が最終合意して11年。地域を翻弄(ほんろう)し続けた移転問題は大きな節目を迎えた。(松本恭治)

 福田市長の判断を受け、基地周辺の山口県和木、周防大島の両町長も27日の町議会で容認する見通し。3市町の意向を踏まえ、同県の村岡嗣政知事は30日の県議会一般質問で受け入れを表明するとみられる。

 菅義偉官房長官はこの日の記者会見で「移転の必要性を理解していただけた」と歓迎。移転完了後は、岩国基地の米軍機は倍増の約120機となり、米空軍嘉手納基地(沖縄県)の約100機を超えて極東最大級の米軍基地に変貌する。

 福田市長は、緊張が続く北朝鮮情勢などの安全保障環境に触れ、「日米同盟の結束がこれまで以上に重要な時。多くの国民は在日米軍と自衛隊の連携による抑止力の必要性を理解している」と容認判断の背景を説明。一方で「基地が存在する限り続く課題に対してはこれからも市民の声に耳を傾け、国に対しても言うべきことは言う」と述べた。

 また、受け入れの是非を判断する前提条件を全てクリアしたと説明。国に要望した安心安全対策や地域振興策の達成状況、米軍再編交付金の拡充に加え、市民と市議会の意見を踏まえて結論を出したとした。

 国の説明によると、移転対象は米原子力空母ロナルド・レーガンに搭載された7部隊計61機。第1陣はE2D早期警戒機で7月以降に移る。11月ごろ、激しい騒音の主因とされるFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機2部隊が移転。18年1月ごろに同型エンジンを搭載したEA18Gグラウラー電子戦機部隊とプロペラのC2輸送機部隊、5月ごろにはスーパーホーネット2部隊が配備される。

米空母艦載機移転計画
 在日米軍再編で、艦載機61機が米海軍厚木基地から米海兵隊岩国基地へ移転する計画。厚木基地周辺の騒音軽減などを目的に、日米両政府が2006年5月に合意した。当初計画では機数は59機とされたが、日本政府は61機に増えるとみる。艦載機とともに米軍人約1700人、軍属約600人、家族約1500人の計約3800人も移り、岩国基地の米軍関係者の総数は1万人を超える見込み。

(2017年6月24日朝刊掲載)

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