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降雨範囲主張 正確さを訴え 「黒い雨」訴訟 原告側

 広島の原爆投下後の「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたのに、被爆者健康手帳などの交付申請を却下したのは違法として、広島市や広島県安芸太田町などの計64人が、市と県に却下処分の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が28日、広島地裁であった。原告側は国の援護対象区域より広いとしてきた黒い雨の範囲の正確さなどを改めて訴えた。

 原告側は、降雨地域が国の援護対象区域の約4倍に及ぶとする気象学者の論文を取り上げ、「手記など2千件を超えるデータを基にし、正確性に疑問はない」と主張。さらに、原爆資料館(広島市中区)に保管されている民家の壁の黒い雨の跡から放射性物質を検出した調査結果も挙げ、援護対象区域外で黒い雨を浴びた原告の救済を求めた。

 これまでの弁論で市と県は「原告が黒い雨を浴びた客観的証拠はなく、降雨地域に高濃度の放射性物質が降下した事実は認められない」などとしている。訴訟を巡っては、今月9日、新たに11人が広島地裁に追加提訴した。

(2017年6月29日朝刊掲載)

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