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「県民目線」実績を強調 二井山口知事が退任会見

 山口県知事を4期16年間務めた二井関成氏(69)が21日、任期満了に伴い退任した。退任の会見で「県民目線に立った県づくりを、誠実に地道に進めることができた」と実績をアピールした。

 最も印象に残った事業は「政治生命をかけて開催を決意した」と2001年の山口きらら博を挙げた。ボランティア参加などで「県民力」を高めたとし、退任の心境を「県民と 心を一つに 16年」と句に表した。

 反省点は「厳しい経済環境の中で企業誘致が十分に進まず、人口減少に歯止めがかからなかった」とした。県債残高が就任当初より倍増した点は、公共事業による景気浮揚を図った国の政策の絡みを指摘し「県の財政指標は全国で上位にある」と理解を求めた。

 国策絡みの原発建設計画(同県上関町)や米海兵隊岩国基地(岩国市)問題は「国に基本的に協力する姿勢を保ちつつ県民の安全確保の観点に立ち、言うべきことは言う姿勢で一貫してきた」と強調。10月に期限が切れる上関原発計画の公有水面埋め立て免許は「一回、失効させる方向で考えるべきだ」と述べた。

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの問題については「国がどこまで分かりやすく説明し、大多数の県民がここまで国は努力したと判断できるかにかかっている」とした。(金刺大五)

「艦載機受け皿」残念 一問一答

 二井氏の会見でのやりとりは次の通り。

  ―現在の心境は。
 激動と試練の時代の県政を担い、県の発展に向けて職務に全力投球し、大きな達成感を感じている。職務から解放される安堵(あんど)感と、一抹の寂しさも感じる。県民が判断することだが、プランの達成度などからみて八十点くらいはいただけるかなと思う。

  ―どんな知事だったと思いますか。
 誠実に地道に、県民と同じ目線で県政を進めてきた。パフォーマンスはできないので、真面目に一生懸命やってきた。

 ―米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転に対するスタンスと沖合移設への考え方は。
 (沖縄県の普天間基地問題が解決するまでは)移転を容認はしていない。地元の意向を尊重するので、岩国市が容認しない限り県が容認することはない。今後は新知事がどう判断するかだ。(沖合移設は)長年の悲願が達成できると地域とともに喜んでいたが、結果的に艦載機の受け皿になってしまい、残念に思う。国は経緯を受け止め、騒音対策や安全対策については、他の基地と横並びでない特別な配慮が必要だ。

  ―退任後は。
 特に考えていない。任期が残る県体育協会や県国際交流協会などの職をボランティアで任期いっぱいやる。(国政選挙に出ることは)全く考えていない。

 ―新知事へ期待は。
 景気・雇用問題や少子高齢化、オスプレイなど多くの課題があるが、豊富な行政経験や卓越したリーダーシップで、的確な対応をしていただけると期待している。県民の一人として、愛する県のため応援していきたい。(山田英和)

(2012年8月22日朝刊掲載)

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