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オスプレイ 岩国に機体 搬入1ヵ月 増す不透明感

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が岩国市の米海兵隊岩国基地に先行搬入されて23日で1カ月になる。米政府が二つの墜落事故を調査し、安全性が確認されるまで試験飛行しないとする中、機体がいつまで岩国にとどめ置かれるのか。不透明さが増している。

 「(長期間の搬入が)基地機能の強化につながるとは捉えていない」。21日の会見で現状について問われた福田良彦市長はこう答えた。当初は陸揚げも認めないとしていたが、「国に対し懸念を伝え、(安全性確認まで飛行しないなど5項目の)要請もしているので、いまの状態が保たれている」との見解も示した。

 ただ、「いまの状態」がいつまで続くのか、明確ではない。

 米海兵隊は17日、4月に発生したモロッコでの墜落事故原因を操縦ミスと断定。日本政府は防衛省職員12人と学識経験者ら4人でつくる分析評価チームで調査結果を精査中だ。今月末に米側が調査を終える6月の米フロリダ州での事故調査結果についても、同様に分析する。

 同省によると、両事故の分析に加え、全エンジン停止時でも空気抵抗で回転翼を回して緊急着陸するオートローテーション機能の作動状況なども含め、安全性を確認するとしている。岩国基地での試験飛行はその後となるため、9月上旬以降となる見込み。

 米側は10月の沖縄配備を変えていないが、同省は「現在は調査結果の精査に全力を挙げている。なるべく急いでいるが、配備が計画通りに進むか分からない」と話している。

 愛宕山地域開発事業跡地の米軍住宅化に反対する「愛宕山を守る会」の岡村寛世話人代表は、21日の座り込み集会で「日本の専門家が1週間程度で確認できるなら、安全性のハードルは高くない。見切り発車で配備の整合性を付けるのではないか」と危機感をあらわにした。(大村隆、堀晋也)

(2012年8月22日朝刊掲載)

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