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IPPNW世界大会開幕 核廃絶 45ヵ国の医師議論

 第20回核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会が24日、広島市中区の広島国際会議場で開幕した。23年ぶりに被爆地広島で開催される大会には、日本を含めた45カ国約500人の医師が参加。26日まで「ヒロシマから未来の世代へ」をテーマに核兵器廃絶への道を話し合う。

 開会式で、世界大会会長を務めるIPPNW日本支部の平松恵一支部長は「被爆地の惨状を風化させず、核兵器の非人道性を次世代に伝えていく」とあらためて誓った。核兵器保有国ロシアのプーチン大統領は「核軍縮へのプロセスが活発に進められることを期待する」とのメッセージを寄せた。

 基調講演後、広島で被爆した小田徹也さん(91)=大阪府豊中市=と木村進匡(のぶまさ)さん(75)=広島市中区=の医師2人が体験を証言。各国の参加者に核兵器を世界からなくすよう訴えた。核兵器廃絶へ向けた国際キャンペーンの成果を報告する全体会議や、福島第1原発事故に伴う市民の健康影響を考えるワークショップもあった。

 開会に先立ち、バップー・タイパレ共同会長(フィンランド)や平松支部長たち4人は原爆慰霊碑(中区)を訪れ花輪をささげた。

 25日は被爆2世の医師が集うシンポジウム、国内外の高校生が核兵器廃絶をテーマに討議するユースサミットなどがある。

 IPPNWは1980年に創設。85年にノーベル平和賞を受賞した。世界大会の広島開催は89年以来2度目。(山本堅太郎)

広島は平和目指すとりで タイパレ共同会長あいさつ〈要旨〉

 広島という地は人類にとって特別な場所だ。核兵器によって、いかに悲惨なことが起こるかを示すシンボルであり、平和を目指すとりでになっている。

 核兵器が引き起こす悲惨な事態への治療法はない。私たちに唯一できるのは核兵器のない世界に人々を誘導すること。核兵器の使用を防ぎ、開発させないと広島から訴えることが私たちの役割だ。

 今こそ連帯し、希望を世界に届けなければならない。核兵器のない世界を実現することが、未来へつながる唯一の道だ。

(2012年8月25日朝刊掲載)

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