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広島復興 力強い調べ 西区の大学院生 新田さん作曲

 エリザベト音楽大(広島市中区)の大学院生新田祥子さん(29)=広島市西区=が、原爆からの広島の復興をテーマにした曲を作った。被爆後に多くの人が求めた水にちなみ、時の流れの中で立ち直る人の姿を表現した。26日午後1時半から広島市の西区民文化センターである地元ゆかりの演奏家のコンサートで発表する。

 曲名は水の流れという意味の「Water Flux Ⅱ」。ピアノとバイオリンの二重奏で、演奏時間は約6分。原爆の衝撃をイメージした重々しい音色から、テンポが速くエネルギッシュな演奏に移る。「時が過ぎ人々が癒やされて復興に励む姿や命の芽生えを表した」と新田さん。優しい旋律のラスト部分で「日本の原風景を思い浮かべ心穏やかになってほしい」という。

 西区出身。広島女学院高から桐朋学園大(東京)へ進学した。「大学の級友たちは8月6日も普段通りに過ごしていることに驚いた」と振り返る。原爆への関心の薄さが平和をテーマにした曲を作るきっかけになった。

 2010年、祖父母から戦争体験を聞き、原爆資料館を見学。1作目は悲壮感のにじむ祈りの曲を作った。2作目の今回は復興がテーマ。「悲惨な現実を継承し、今を前向きに生きる自分たちに役立てたい」と願う。

 26日のコンサートは、クラシックの初心者にも親しみやすい内容。一般2500円など。西区民文化センターTel082(234)1960。(山本祐司)

(2012年8月25日朝刊掲載)

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