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IPPNW 広島で世界大会 核許さぬ 医師の伝言

 広島市中区の広島国際会議場で24日開幕した第20回核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会。広島で被爆した医師2人が体験を語った。「ヒロシマを繰り返してはならない」。老いた医師の力強い訴えが会場に響いた。(田中美千子)

 小田徹也さん(91)=大阪府豊中市。被爆当時、呉海軍病院の軍医だった。病院のそばで見たきのこ雲に足がすくんだ。翌7日朝、志願して広島へ。「放射線の怖さなど知らなかった」

 5日間ほど救護所に列をなす人を診た。「水をください」と口をそろえる患者たち。大やけどで失明し、駆け付けた母親の顔を見ることなく息を引き取った女性もいた。「治療といっても油を塗るくらいしかできなかった」。医師として悔恨の言葉を繰り返した。

 ことし2月に胃がんの手術をしたばかり。被爆した同僚の多くは亡くなった。「今伝えておかないと。思いは果たせた」。証言を終えて、ほっとした表情を浮かべた。

 もう一人の医師、木村進匡(のぶまさ)さん(75)=広島市中区=は8歳の時、爆心地から900メートルで被爆した経験を語った。「心に傷が残り、がんなどの後障害の不安にもおびえてきた。全人類のため核兵器はあってはならない」と述べた。

(2012年8月25日朝刊掲載)

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