×

ニュース

オスプレイに揺れる岩国基地 艦載機移転へ工事本格化

 岩国市の米海兵隊岩国基地で2014年の艦載機移転に向けた施設工事が本格化している。給油タンク整備など現在進行中の工事は127件。駐機場や将校宿舎などの建設も控える。基地は垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ問題に揺れ、市や県は「普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)解決までは移転は認めない」方針だが「すべてなし崩しで進んでいる」との声も上がっている。(大村隆)

 オスプレイが並ぶ駐機場から北東に数百メートル。クレーンがそびえる下を、何台もの大型ダンプカーが砂煙を上げながら行き交う。その背後では、巨大なタンク2基が建設中だ。中国四国防衛局(広島市中区)によると、14年に厚木基地(神奈川県)から移転する空母艦載機59機などの燃料タンクという。

 防衛局によると、再編関連工事は07年度に始まった。昨年度までの工事件数は駐機場等舗装(48億1900万円)艦載機の整備格納庫(43億4千万円)将校宿舎(8億円)など計171件、総額1075億円にのぼる。本年度もエンジン整備場や機体を洗うための洗機施設などの建設が予定されている。

 費用は米軍再編関係経費として日本側が負担する。しかし、再編工事の総事業費や進捗(しんちょく)率には「今後、どういう工事が必要になるか不明で答えられない」(防衛局)という。

 艦載機移転に伴い、岩国基地には部隊員約1900人、家族約1700人、軍属や施設従業員約200人が新たにやって来る見通しだ。普天間飛行場からの空中給油機KC130の移転により、部隊員・軍属など計約340人の増員も決まっている。

 そんな中、オスプレイの強行搬入は米軍再編にも大きな影響を及ぼす。これまで再編に協力姿勢を示してきた岩国市の福田良彦市長は「今後のスタンスも変更せざるを得ない」と明言。山本繁太郎知事もオスプレイが長期間岩国にとどまった場合「(再編への姿勢を)考え直さなければならない」とした二井関成前知事の考えを踏襲している。

 基地近くの車第3自治会の元自治会長米田隆博さん(73)は「米側が決めたことに、日本は何も言えない。オスプレイも艦載機移転も同じ。国の安全保障の建前のもとで、基地周辺の住民はなし崩し的に危険や騒音にさらされている」と憤っている。

(2012年8月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ