社説・コラム

『記者縦横』 宏池会独自の憲法観を

■東京支社 野崎建一郎

 安倍晋三首相が打ち出した、憲法9条への自衛隊の追加明記案について、中国地方選出の国会議員に見解を聞く「『9条加憲』を考える」の連載を始めた。この改憲案をどう捉えればいいのか。皆で考える際の手掛かりにする狙いだ。

 自民党の林芳正氏の話で興味深かったのは、所属する派閥・宏池会の先達である故宮沢喜一元首相たちの9条観についてだ。戦争を経験した宮沢氏たちを「9条を悲惨な経験を繰り返さない『ふた』のように捉えていた世代だと思う」と推測を交えて振り返った。

 「私は『憲法9条は壮大な実験だ』と言ったことがある。憲法施行以降、日本は戦争に巻き込まれずに繁栄を成し遂げ、世界第2位の経済大国になった。『実験』は成功したと思っている」。13年前、宮沢氏が中国新聞のインタビューに述べた言葉だ。林氏が指摘した、宏池会の先輩世代の9条観とも合う。

 ことし4月、宏池会のパーティーで会長の岸田文雄外相は「安倍時代もいつかは後が巡って来る。宏池会はその時に何をするのか、しっかり考えておかなければいけない」と述べた。

 創立60周年のことし、宏池会は独自の政策を練るが、憲法について見解をまとめるかどうかは未定という。かつてとはやや異なるかもしれないが、平和憲法の捉え方は、他派閥と異なる特色の一つだろう。宏池会独自の憲法観をまとめ、それを打ち出すことへの期待は、自民党内外に少なからずあると感じている。

(2017年7月14日朝刊掲載)
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