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黒い雨 厚労省が相談事業 「指定地域外」を対象

 広島原爆で降った「黒い雨」をめぐり、厚生労働省が援護対象となる指定地域外で被害を訴える住民たちを対象に、来年度から相談事業を始める方針を固めたことが29日、分かった。来月上旬にまとめる2013年度予算の概算要求に経費を盛り込む。

 広島市や住民団体は国費で健康診断を受けられる指定地域を約6倍に広げるよう求めたが、国は先月、有識者検討会が否定的な報告をまとめたのを受け拡大を見送っている。

 一方、検討会が黒い雨を浴びたり、飲んだりするなどした人に「放射線被曝(ひばく)への不安や心配」による精神面の不調を認め、「不安軽減のため」に相談事業を提言したのに沿い、厚労省が検討していた。

 経費は調整中で、概算要求までに詰める方向だ。さらに事業の実施体制や方法などの詳細は今後、広島市などと協議した上で、決めたい考えだという。

 ただ、市は松井一実市長が6日の平和記念式典で拡大へ政治判断を求めるなど、国の見送り決定後も要望を続ける。また、広島、長崎両県選出の国会議員たちでつくる民主党の被爆者問題議員懇談会も市の方針を支持している。検討会の結論に沿った厚労省の既定路線の対応には今後、反発も予想される。(岡田浩平)

(2012年8月30日朝刊掲載)

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