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核兵器禁止 条約実現へ 国際会議でアピール採択

 (アスタナ・カザフスタン発 増田咲子)「核実験禁止から核兵器のない世界へ」をテーマにした国際会議が29日、カザフスタンの首都アスタナで開かれた。同国の下院や核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)などの主催で、51カ国と国際組織から国会議員や軍縮問題の専門家ら約170人が出席して討議。核兵器禁止条約の実現に向けた交渉を始めるべきだとするアピールを採択した。

 同国のナザルバエフ大統領が「核兵器のない世界実現のため、力を合わせよう」とあいさつ。各国の代表者らは、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効や非核兵器地帯の拡大の必要性について、意見を述べた。

 カザフスタンの芸術家クユコフ・カリプベクさん(44)は、旧ソ連最大のセミパラチンスク核実験場から約100キロ離れた村で両腕がない状態で生まれた。「核による被害は私で最後にしてほしい」と訴えた。

 PNND日本メンバーの森山浩行衆院議員(大阪16区)は、広島と長崎の悲劇を繰り返してはならないと述べた上で、北朝鮮の核開発が北東アジア非核化を阻んでいると指摘。「非核兵器地帯確立に向け、この問題の解決が必要」と強調した。

 最後に採択したアピールでは、さらなる核兵器生産の中止、中東や北東アジアでの非核兵器地帯の早期成立なども盛り込んでいる。

 8月29日は、旧ソ連が1949年、セミパラチンスク核実験場で初の核実験を実施した。カザフスタンは、91年の同じ日に同核実験場の閉鎖を宣言。2009年には、この日を「核実験に反対する国際デー」とするよう国連総会に提案し、採択された。

(2012年8月30日朝刊掲載)

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