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平和の千羽鶴譲り受け展示 広島市から6万5000羽

 広島県府中市上下町の野田明子さん(71)が、広島市中区の平和記念公園にある原爆の子の像にささげられた千羽鶴を譲り受け、経営するCD販売店に飾っている。将来は自宅の一室を「祈りの部屋」として折り鶴を飾り、公開する考えだ。

 店頭のアーケードに色とりどりの約7千羽が掛かる。「一羽一羽が大切に折られ、真心を感じます」

 広島市が折り鶴の引受先を公募していると知った昨年、3歳の時の記憶を思い出した。父が徴兵され、「一緒に行くんだ」と泣きついた光景で、平和を思う心の礎になっていた。

 「折り鶴を引き受けたい」と申し込み、約6万5千羽を受け取った。ところが、チラシで折った千羽鶴が目につき、飾るのをためらっていると、「私を飾ってと語りかけてきた」。

 折り鶴を見て被爆した当時のつらい貴重な体験を打ち明けてくれる来客もいて、平和の尊さを思ったという。

 10月の上下かかしまつりでも披露するつもりだ。「多くの人に見てもらい、平和への気持ちが高まれば」。野田さんはそう願っている。(筒井晴信)

(2012年8月31日朝刊掲載)

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