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オスプレイ事故 森本防衛相説明 岩国 受け止め分かれる

 「十分な説明だった」「公正と言えない」。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ墜落事故の日本独自の分析結果をめぐり、森本敏防衛相が山口県岩国市を訪れ説明した30日、搬入されたオスプレイ12機の留まる地元の受け止めは分かれた。市は判断は留保しつつ、独自調査した国の姿勢を一定に評価したが、反対派住民は「既成事実の積み上げだ」と態度を硬化させた。(大村隆、堀晋也)

 「大臣、どうもお疲れでございます」。市役所内の会談場所に現れた森本防衛相を、福田良彦市長は立ち上がり、一礼して迎えた。先行搬入の報告があった約2カ月前の会談では座ったまま、ぶぜんとした表情で出迎えた光景とは一変。予定の20分を大幅に超え、約1時間に及び、一部非公開で行われたこの日の会談。福田市長は分析結果を「信頼おける」とし「人為ミスと認識した」と述べた。

 米軍再編協力姿勢の21市議でつくる「岩国基地問題に関する議員連盟」副会長の貴船斉市議会副議長も同席。「事故原因については十分な説明だった」と福田市長と同様に受け止めた。ただ、福田市長、貴船副議長ともに、フロリダでの事故調査が出ていないため、安全性の判断は留保している。

 市役所前では、オスプレイ反対の横断幕やのぼりを持った市民ら約80人が午後0時半から約2時間、気勢を上げた。住民団体「愛宕山を守る会」の岡村寛世話人代表は「説明に来たという既成事実を積み上げ、確実にアメリカのスケジュールを進めようとしている」と憤った。

 同会など5団体は9月9日、オスプレイ配備が予定される普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市で開かれる配備反対の県民集会に呼応して岩国市でも連帯集会を開く。

 反対派の一人で、分析結果を独自に調べた元県議の久米慶典さんは「米側から提出されたデータを追従しただけ」と批判。事故原因を「人的要因によるところが大きい」と結論づけている点に触れ「人的要因以外も考えられるということなのか。どんな小さな要因も明らかにするべきだ」と指摘した。

(2012年8月31日朝刊掲載)

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