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節電の夏 予備率9%以上保った 安定供給 目安クリア

 中国電力の7、8月の電力需給は、供給余力を示す予備率が9%以上を保った。関西と九州地方に電力を融通しながらも、節電の広まりなどで「原発ゼロの夏」を乗り切った形。中電は「火力発電所の稼働を無理に増やした結果で、安定供給へ原発は必要」と説明する。一方、「原発なしでも電力供給ができる」とみて、脱原発を求める声もある。(東海右佐衛門直柄)

 中電によると7、8月の平日のピーク時電力(8月31日は速報値)は平均約977万2千キロワットで、2010年と比べて7・6%減った。予備率が10%未満だったのは7月12日(9・3%)の1日だけ。10%以上15%未満は21日間、15%以上20%未満は14日間、20%以上は8日間だった。安定供給の目安は8~10%とされる。

 期間中、中電は関西電力と九州電力へ最大計131万キロワットを融通。それでも一定の余力が維持された。

 7月の家庭用の販売電力量は前年同月比10・4%減で、7月としては過去最大の下げ幅。7月2日からの数値目標を伴う節電で、使用電力が抑制されたとみられる。7月の平均の最高気温はほぼ平年並み。8月は平年よりやや高かった。

 中電が供給力を高めた側面もある。火力発電所の補修時期を調整し夏季の稼働を増強。企業の自家発電からの買い取りも増やした。

 中電は島根原発の点検不備問題を受け10年にも、原発が全停止した状態で需給に対応した。ただ中電は「電力供給に余裕が出たのは、あくまで結果論」と強調する。

 中電によると今夏、仮に最大出力100万キロワットの三隅火力発電所(浜田市)でトラブルが起きた場合、余力はなくなり電力不足になった可能性もあるという。「老朽化した施設を緊急にフル稼働させており、今の稼働は長く続けられない。原発のない現状では、安定供給に支障が出る可能性がある」とする。

 一方、脱原発を訴える広島大の安藤忠男名誉教授は「原発ゼロでも、地域に大きな影響がないことが証明された」とみる。火力発電のフル稼働によるコスト増や、電気料金への影響なども考慮した上で、「原発の必要性を見直す議論を進めるべきだ」と訴える。

中国地方の電力需給対策
 原発停止に伴い、政府は全国7地域で節電を要請。中国地方では7月2日から、2010年夏に比べ「5%以上」の節電を求めた。関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)の稼働を受け、10日から「3%以上」に緩和。26日に数値目標を撤廃した。

(2012年9月1日朝刊掲載)

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