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被爆者団体 活動二極化 本社調査 108団体回答

54%「2世ら加え今後も」 25%「継続は存命の限り」

 中国新聞社は、各都道府県と、中国地方5県の各地域にある被爆者団体に活動状況などを尋ねるアンケートをし、計108団体から回答を得た。組織の行方を巡り、59団体(54・6%)が被爆2世たちを加えての存続に意欲を持つ一方で、27団体(25・0%)は会員の被爆者がいなくなればなくなるとの見通しを示し、二極化が進む現状がうかがえた。(長久豪佑)

 将来、組織をどう維持するかという問いに「2世や遺族を団体に加えて存続させる」と答えたのは道県23団体と地域36団体。「会員の被爆者がいなくなれば解散・消滅させる」は都府県9団体と地域18団体だった。「別の組織に活動を引き継ぐ」は計7団体、別組織との統合など「その他」は計14団体あった。

 アンケートは3年連続。被爆70年だった2015年に比べ、被爆者がいなくなれば解散・消滅するとした団体の割合は約11ポイント減り、2世たちによる存続を見込む団体は約15ポイント増えた。この間、活動に行き詰まった団体が次々に解散し、アンケート対象から外れた点も影響しているとみられる。

 団体の内外に2世組織が「ある」と答えたのは44団体。また「ない」とした63団体のうち、35%に当たる22団体は「つくる計画がある」としており、2世の組織化が進みそうだ。

 半面、2世組織がなく、設立の予定もない41団体のうち8割の33団体が「願っても担い手がいない」と回答。主に人口が少ない山間部や島の団体が世代交代の難しさに直面している。

 中国地方の地域団体では16年以降、府中市原爆被害者の会や因島地区原爆被害者友の会(尾道市)など少なくとも7団体が解散や統合で活動を終えた。都道府県組織ではその間の解散は確認できなかったが福島と群馬が担当者の病気などで今回は回答できなかった。被爆者健康手帳を持つ全国の被爆者(海外在住を含む)は3月末で16万4621人。平均年齢81・41歳。

 国連で7日に制定された核兵器禁止条約については101団体が「意味がある」と評価。交渉に不参加だった日本政府に条約加盟を求める意見も103団体に上った。

 ≪調査の方法≫6月にアンケート用紙を持参や郵送で配布。返信が届いた後、電話でも担当者から聞き取った。全国調査では、日本被団協を構成する都道府県組織のうち40団体と、オブザーバー参加の広島県被団協(佐久間邦彦理事長)、県単位での活動がない山形県の「つるおか被爆者の会」(鶴岡市)を合わせた計42団体が回答。中国地方は各県組織が把握する支部や地域の会など66団体が協力した。2015年の回答は計121団体、16年は計115団体だった。

(2017年7月23日朝刊掲載)

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