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社説・コラム

地図・写真で存在伝える 旧海軍地下壕を調査 呉高専の光井准教授に聞く

佐世保や舞鶴 旧軍港研究者と連携期待

 海上自衛隊呉地方総監部(呉市)に残る旧日本海軍の地下壕(ごう)を学生と調査している呉高専(呉市)の光井周平准教授(建築構造)に、調査の成果や今後の課題を聞いた。地下壕は29日の呉サマーフェスタに合わせ、戦後初めて一般に公開される。(浜村満大)

  ―地下壕は空襲などを受けた際、指揮の拠点として使い、「地下作戦室」とも呼ばれていました。今月2日、呉高専の教員・学生計18人で立ち入った際の印象は。
 地下壕が残っていること自体、知らなかった。主要部分は幅14メートル、奥行き15メートル。アーチ状の天井は最も高い地点で6メートルに達する。これだけ大規模なものが残っていることにまず驚いた。多くの人に存在を知ってほしい。

  ―調査の進み具合は。
 地下壕と、そこから延びる地下通路の写真を撮った。これを基に一般公開で配る地図を作っている。学生からの提案で地図にQRコードを添える。スマートフォンを使えば、公開時には見られない場所の写真も見られる。

  ―学生を調査に参加させる目的は。
 呉で起きた空襲を詳しく知らない学生も多い。呉や海軍の歴史に興味を持つ入り口になると考えた。学生が自発的に地図の作製に関わり、教育面でも有意義な機会を得た。

  ―今後、調査したい項目は。
 建築方法に関心がある。崩落箇所がある地下通路に機械を入れ、どこまで延びているかも調べてみたい。今回の調査を知って、他の研究者からも連絡が来た。旧軍港都市として栄えた長崎県佐世保市や京都府舞鶴市にも高専がある。連携して多角的な調査が進められれば、さらに興味深い事実が解明できると考えている。

(2017年7月25日朝刊掲載)

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