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遺品囲み大型資料配置 原爆資料館 来年7月改装オープン 検討会議了承 展示を見直し

 原爆資料館(広島市中区)は26日、展示の見直しに助言する有識者検討会議を同館東館で開いた。来年7月に改装オープンする本館では、犠牲者の遺品の「集合展示」を取り囲むように大型資料を並べる手法を導入する方向で了承を得た。空間全体で人間と都市の被害を訴える。(野田華奈子)

 資料館によると、8月6日の惨状を伝えるゾーンでは、中央の大型ケース内に、犠牲となった動員学徒が被爆時に身に着けていた学生服、かばんなどを集めて展示。ケースの周囲に、風圧で破壊された扉などの大型資料を並べる。

 これまでの会議で、遺品と大型資料をともにケース内で集合展示する案が了承されていた。資料館が検討を進めた結果、見学者から大型資料まで距離感が生じ、手前に置く個人の遺品に目が向かなくなるといった課題が浮上。分けて展示するよう改めることにした。

 このゾーンに関しては、委員から、本館敷地で進めた発掘調査で被爆資料が出土したのを踏まえて「地域のコミュニティーや伝統が破壊されたという観点を入れては」との指摘や、動員学徒以外の資料展示も求める意見が出た。

 また、資料館は、被爆者が惨状の記憶を描いた「原爆の絵」を大きく引き伸ばして各所に展示する案を説明。委員からは「被爆者の気持ちが入った唯一の表現物であり効果的だ」との評価がある一方、同じ場面の写真と共に並べるなど工夫するよう注文がついた。

 検討会議は2010年8月に設置され、21回目。資料館は今後、展示の詳細を詰める。

(2017年7月27日朝刊掲載)

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