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小水力発電所 山口県新設へ 宇部丸山ダム

 山口県企業局は、宇部市瓜生野の宇部丸山ダムに最大出力134キロワット、年間発電量650メガワット時を想定した小水力発電所を来年度にも新設する。小水力発電は採算面が課題だったが、7月に始まった再生可能エネルギー固定価格買い取り制度で売電価格が従来の3~4倍になり、状況が一変した。同ダム以外にも小水力発電所を新設する機運が広がりそうだ。(山田英和)

 計画では、ダム湖底にある直径70センチの工業用水などの取水管に発電設備を増設。最大18・4メートルになる湖面と湖底との高低差で生じる水圧エネルギーで水車を回し、発電する。

 年間発電量は一般家庭180戸分に相当し、全量を中国電力に売る方針。企業局は本年度、コンサルタント会社に委託して出力や建設コスト、採算性など詳細設計を詰め、来年度に建設と運転開始を目指す。

 厚東川水系の宇部丸山ダムは、宇部市や山陽小野田市に立地する企業への工業用水や、水道用水の供給を目的として1979年3月に完成した。県企業局は昨年度から固定価格買い取り制度の開始を見込み、管理施設で小水力発電導入の可能性を調査。常時、工水や上水を供給しており、安定的なエネルギー確保が可能と判断した。

 企業局は新阿武川(萩市)や菅野(周南市)など10カ所で水力発電所を運営。うち最大出力千キロワット以下の小規模は小瀬川(岩国市、630キロワット)と本郷川(同、260キロワット)の2カ所ある。

 小水力で発電した電力は中電に1キロワット時当たり7円79銭で売電してきたが、7月に固定価格買い取り制度が始まり、小水力発電の買い取り価格は規模に応じて同30円45銭~35円70銭に大幅アップ。

 投資を短期に回収できる見通しとなったことが新設につながった。県企業局は「ダムなど多くの施設を管理しており、未利用のエネルギーを少しでも電力に転換していきたい」としている。

(2012年9月4日朝刊掲載)

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