×

ニュース

被爆者援護制度を説明 広島市、浪江・双葉町向け

 広島市は4日、福島第1原発事故で全町民が避難を余儀なくされている福島県浪江、双葉両町に原爆被爆者の援護制度について説明した。被災者の援護を国に求める両町に広島の経験を参考にしてもらうのが目的で、双葉町が役場機能を移している埼玉県加須市へ職員を派遣した。両町は今後も会合を持つよう広島市に要請した。

 市原爆被害対策部調査課の大杉薫課長たち3人が、加須市の高校跡地にある双葉町役場埼玉支所を訪問。井戸川克隆町長たち11人と浪江町職員3人に、援護制度の概要や現行の内容に至った経緯を解説し、意見交換した。

 浪江町健康保険課の紺野則夫課長は「国に援護をどう求めていくか、市の助言をいただきたい」と、年内にも3者で再び会合を開くよう求めた。大杉課長は「持ち帰って検討したい」と応じた。

 井戸川町長も「非常に勉強になった。今後も必要な指導をお願いしたい」と話した。

 浪江町は被爆者健康手帳を参考に「放射線健康管理手帳」を独自に発行。被災者に、医療費無料化など被爆者と同等の援護を実現する法整備を国に求めている。双葉町も同様の手帳発行を検討する。

 浪江町の馬場有(たもつ)町長は8月6日、広島市の平和記念式典に参列。馬場町長と面会した松井一実市長は町の取り組みを支援する姿勢を示し、今回の職員派遣を決めた。(田中美千子)

(2012年9月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ