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制度設計の議論開始 原爆症認定制度の在り方検討会

 厚生労働省の「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」の第14回会議が7日、省内であり、前回会議の中間報告を受け、制度設計の議論に入った。「現行制度の改善」や日本被団協が提案した「被爆者手当の創設」などを含む三つの選択肢を念頭に論点を深める。

 中間報告までの議論を踏まえ、座長の神野直彦・東大名誉教授と事務局が示した選択肢は①法令などで審査基準を客観化し、相当程度判断が固まった病気を認定に取り入れる②認定制度を廃止し、全被爆者に手当を支給し症状に応じて手当を加算③放射線起因性が無視できない程度の「グレーゾーン」を設け、段階的な手当を設定―。

 このうち「グレーゾーン」の議論をめぐり、複数の委員が、認定要件として現行の科学に基づく原爆放射線と病気との関連(放射線起因性)より広い「原爆起因性」を提唱。精神面も含め、科学で判断できない影響を認める考え方を示した。これについては、空襲などの戦争被害と区別するため放射線被害に限って援護する国の立場を念頭に、疑問視する意見も出た。

 被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は「原爆起因性」に関心を示しつつも、病気の認定の是非をめぐり裁判が絶えないとして、認定制度をやめるよう繰り返し主張した。

 6月にまとめた中間報告では、現行制度の改善を基本にしつつ、被団協の主張も併記していた。次回は今月27日に開く。(岡田浩平、山本洋子)

(2012年9月8日朝刊掲載)

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