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磯野恭子さん死去 83歳 山口放送で反戦番組

 山口放送(周南市)ディレクターとして、原爆小頭症や中国残留婦人をテーマに数多くのドキュメンタリーを手掛けた磯野恭子(いその・やすこ)さんが2日午前8時30分、心筋梗塞のため岩国市山手町3の27の21の自宅で死去した。83歳。江田島市出身。葬儀は近親者で営む。喪主は長男公紀(まさき)氏。

 広島県立広島第一高等女学校(現皆実高)から広島大を経て1959年、ラジオ山口(現山口放送)にアナウンサーとして入社。岩国市の原爆小頭症の女性と両親に迫った79年の「聞こえるよ母さんの声が―原爆の子・百合子」が、文化庁芸術祭のテレビドキュメンタリー部門で大賞受賞。81年にベルリン未来賞にも輝き、国際的な評価を得た。

 戦争末期の人間魚雷「回天」の搭乗員の生涯を伝えた84年放送の「死者たちの遺言―回天に散った学徒兵の軌跡」が文化庁芸術祭優秀賞、ギャラクシー賞。中国残留婦人の2作品(87、92年放送)はいずれも芸術祭芸術作品賞を受賞し、永住帰国の希望者全員を受け入れる93年の旧厚生省方針につながった。

 88年、山口放送の取締役に就任し、民放初の女性役員として注目を浴びた。2004年から6年間、岩国市教育長も務めた。(松本恭治)

(2017年8月3日朝刊掲載)

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