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いしぶみに刻む <2> 慰霊碑(周南市桜馬場通) 遺族会の「絆」 記憶継ぐ

 周南市の中心部、桜馬場通の児玉公園の片隅に、太平洋戦争などで亡くなった市民の「慰霊碑」が立つ。裏にある側碑「芳魂録」には、1945年に市街地を焼き尽くした徳山空襲や、戦地での犠牲者約2500人の名前が刻まれている。

 慰霊碑の高さは約7メートル。81年12月、当時の徳山市連合遺族会と同市戦災遺族会が建立した。台座部分には「御霊 安らかに 眠りたまえ」と記されている。公園には平日でも多くの親子連れが集まる。慰霊碑は子どもたちが元気に遊ぶ様子を静かに見守っている。

 周南市内各地区の遺族会で手入れし切れず、汚れたり傷んでしまった慰霊碑を見て、市連合遺族会の大川勝也会長(74)が呼び掛け、2014年10月に会員有志約70人が「絆クラブ」を結成。年間計画を立て、掃除や修繕をしている。

 児玉公園の慰霊碑も手入れが行き届いてない一つだった。同クラブの70~80代のメンバーが月に1度、周囲を清掃し、目立つ汚れは高圧洗浄機で落としている。隙間の空いた石の継ぎ目にセメントを流す補修もする。「私たちの後に誰が管理してくれるだろうか」との不安を感じつつ、「盆に多くの人が手を合わせに来てくれるように」と願っている。(高田果歩)

(2017年8月4日朝刊掲載)

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