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オスプレイ 本格運用ずれ込む 当面は岩国基地に

 森本敏防衛相は12日、山口県庁で山本繁太郎知事、岩国市役所で福田良彦市長とそれぞれ会談し、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)での本格運用は「10月初旬にはなりそうにない」と述べ、米海兵隊岩国基地に先行搬入された状態が当面続くとの認識を示した。

 オスプレイが米フロリダ州で6月に墜落した事故については、森本防衛相は会談で「人的要因が大きい」とする政府独自の分析結果を山本知事、福田市長に伝えた。これに対し山本知事、福田市長とも日米合同委員会でまとめる安全確保策の内容などを踏まえ、判断する考えを示した。

 フロリダで事故を起こしたオスプレイは空軍仕様のCV22で、岩国基地に搬入されている海兵隊仕様のMV2212機とはやや異なる。

 分析結果の説明を受けた福田市長は「安全性の疑義はある程度払拭(ふっしょく)された」と防衛相の説明に一定の理解を示す一方、「市民の不安が払拭されない限り、いかなる飛行も行われるべきではない」と述べ、再発防止策や市街地上空での飛行制限などを検討するよう要請した。

 森本防衛相はこの後、山本知事と会談。知事は「国として責任を持って対処しようとしている。最終的に国の責任で判断したことを聞いた上で(県の)考えを定めて取り組みたい」と話した。会談後、記者団に「安全性全体に関しては、まだ懸念が残っている」とした。

 森本防衛相は福田市長との会談で、オスプレイの国内運用に向けた日米合同委員会の安全確保策について「来週、再来週にはほとんどの内容が決着する」と明言。野田佳彦首相に内容の了承を得た上で、山本知事と福田市長を訪ねるスケジュールを示した。

 試験飛行の期間と空域に関しては政府が計画している体験搭乗を含め「2週間程度と米側から説明を受けている。岩国基地の空域と米軍の訓練区域で実施し、大部分は海上で行う」と説明。「その後、普天間には2機編隊で移動する」とした。(酒井亨、金刺大五)

(2012年9月13日朝刊掲載)

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