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被爆時に未成年の場合 50年後も高リスク 甲状腺がん 

 広島、長崎で被爆時に未成年だった人の甲状腺がんの発がんリスクは、被爆から50年たっても高いままであるとの調査結果を、放射線影響研究所(放影研、広島市南区)がまとめた。12日までに、国際対がん連合(本部・ジュネーブ)の学術誌に発表した。

 放影研が追跡調査している被爆者は約12万人。浴びた放射線量が不明な人たちを除いた約10万5千人のうち、1958~2005年に甲状腺がんを発症した371人について、被爆時の年齢や放射線量などを解析した。

 その結果、10歳の時、1シーベルトを浴びた人の60歳時の発症率は、ほとんど放射線の影響を受けていないと考えられる被爆者の2・28倍と推定された。一方、被爆時に20歳以上の人に明らかな影響はみられなかった。

 被曝(ひばく)が甲状腺がんのリスクを高めることは知られている。未成年の時の被曝が、長期にわたって発がんリスクの高い状態を生み出すことが分かったのは初めて。

 放影研の古川恭治副主任研究員は「さらに研究を続ければ、低線量被曝の影響や甲状腺の発がんメカニズムの解明につながる可能性もある」としている。(田中美千子)

(2012年9月13日朝刊掲載)

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