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オスプレイ事故 防衛相報告 山口県岩国市議会 消えぬ不安

 垂直離着陸輸送機オスプレイの米フロリダ州での事故原因は、モロッコに続き「人的要因」。調査報告のため12日に山口県岩国市を訪れた森本敏防衛相は強調したが、不安は残り反発は続く。市議会は14日開く全員協議会に防衛省幹部を招き、疑問をぶつける。福田良彦市長はもちろん議会の姿勢も焦点となっている。

 「分析は米側の追認」。共産党市議団(3人)の大西明子氏は調査そのものの在り方に疑問を投げかける。全協では「全エンジン停止時でも空気抵抗で回転翼を回して緊急着陸するオートローテーション機能の有無をはっきりさせたい」とする。

 公明党議員団(4人)の越沢二代氏は「人的ミス自体が問題。最新の機種ならあり得ないのではないか」。リベラル岩国(1人)の田村順玄氏も「オスプレイの欠陥について問いただしたい」と準備中だ。

 機体の滞留長期化への懸念も。清風クラブ(4人)の石原真氏は「岩国に居座る可能性を問いたい」。市民クラブ(3人)の渡辺靖志氏は「12機搬入の状態は基地機能強化。基地拡大政策を止めるべきだ」と訴える。

 基地に協力的な保守系市議からも厳しい注文が出る。抑止力の視点から配備の必要性を認めている新和会(5人)の片山原司氏は「人の及ばない能力をカバーするのが機械。原因をすべて人為ミスとするのはどうか」。対中関係から配備に理解を示す岩国市政クラブ(4人)の前野弘明氏は「安全性の担保は不可欠」と強調する。

 岩国クラブ(6人)の味村憲征氏は「まだ完全に不安が消えてない段階で、(オスプレイの)体験搭乗の話を持ち出すのはおかしい」と政府の姿勢を批判。創志会(2人)の藤本泰也氏は「14日までに会派内で質問を調整する」とした。

 一方、基地近くの車第3自治会山縣克彦会長は「産業界ではヒューマンエラーは起こるものとして、3重、4重の対策を講じるのが当たり前。ちょっとしたミスで墜落する機体など不完全だ」と指摘。米側には安全性の基準の見直しを、国や地元自治体には毅然(きぜん)とした態度を求めた。

市民ら60人 抗議の声 岩国市役所前

 森本防衛相が岩国市と県を訪れた12日、試験飛行や沖縄配備に反対する市民ら約60人は市役所前に集まり、抗議の声を上げた。

 市民らは午前9時前から「オスプレイはいらない」などと、森本防衛相が市役所を去る10時20分ごろまで訴えた。「住民投票を力にする会」の浅井優作さん(26)は「沖縄県民大会にも参加した。これだけ多くの反対の声に耳を傾けない国を残念に思う」とした。

 森本防衛相が示した沖縄への配備遅れについても住民団体「愛宕山を守る会」の岡村寛世話人代表(68)は「反発が強い沖縄に配慮してのことか。配備ありきでスケジュールを進めようとしていることに変わりはない」と憤った。(堀晋也)

(2012年9月13日朝刊掲載)

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