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「ナクバ(パレスチナ人の離散による悲劇)」の記憶継承を

■記者 桑島美帆

 1948年のイスラエル建国でパレスチナ人が強制的に故郷を追われたナクバ(大惨事)から60年を記念し、シンポジウム「ナクバとヒロシマ-記憶とその継承」が14日、広島市中区の市まちづくり市民交流プラザであった。市民や学生ら150人が聴講した。

 パレスチナ難民の聞き取りを70年代から続けるベイルートの人類学者ローズマリー・サーイグさん(81)が講演。「ヒロシマ・ナガサキに比べ、パレスチナ難民の記録は圧倒的に少ない」とし、体験を記録し伝えることの大切さを強調した。

 パネル討論では、宇野昌樹広島市立大教授や直野章子九州大准教授、鵜飼哲一橋大教授が、パレスチナと比較しながらヒロシマ継承の意味を考えた。鵜飼教授は「どちらも加害者は謝罪していない。これからは新たな記憶の掘り起こしが必要だ」と提案。直野准教授は「被爆者の憎しみや心の傷、語りたがらない沈黙の意味にも耳を傾けよう」と述べた。

(2008年12月16日朝刊掲載)

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