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上関原発 事実上中止へ 島根1号機 14年廃炉

 原発の新設を認めない政府の新たなエネルギー戦略を受け、中国電力の上関原発(山口県上関町)計画は事実上、中止の方向が決まった。運転開始から38年を経た島根原発(松江市)1号機は、2014年に廃炉となる。中国地方の原発計画は大きく転換することになる。

 政府の新戦略に対し中電は「極めて遺憾」とコメント。「安全対策を徹底し、原子力発電が重要な電源の一つとして信頼いただけるよう努める」とした。地元にも異論があり、最終決定までに、なお曲折も予想される。

 上関原発は、福島第1原発事故を機に準備工事が中断し、本体工事は未着手。今後の着工は、「新増設しない」とする原則に沿わない。政府は上関原発の個別方針は示していないものの、この原則が適用される可能性が高い。

 同原発は1982年、当時の上関町長が誘致を表明。その後、推進と反対派で住民の民意が二分し、これまでに9回計画は延期されてきた。事業費は約9千億円。計画中止となれば、町づくりにも大きく影響する。

 島根1号機は、74年の稼働開始から38年が経過。運転を40年に制限する方針に基づくと、2年後の14年に廃炉の期限を迎える。89年に運転を始めた島根2号機は、同様にあと17年で廃炉の期限を迎える。

 建設工事がほぼ完成している島根3号機は、近く発足する原子力規制委員会の判断に委ねられるが、既設として稼働が認められる可能性がある。(東海右佐衛門直柄)

(2012年9月15日朝刊掲載)

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