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上関原発計画 事実上の中止 周辺首長の反応交錯

 政府が14日に決定した新たなエネルギー・環境戦略。上関町への原発建設計画は事実上、中止の方向となり、周辺の自治体でもさまざまな反応が交錯した。

 上関町周辺にある柳井、光の2市と平生、田布施、周防大島の3町には計約86億円の交付金が見込まれていた。政府はクリーンエネルギーの導入支援を含めた各種施策を優先的・重点的に展開する方針も盛り込んだが、新戦略決定で従来の予定が不明確になったのは間違いない。

 柳井市の井原健太郎市長は「政府が責任を持って出されたもの。決定は決定として受け止めざるを得ない」と慎重に言葉を選ぶ。現時点で交付金を当て込んだ事業計画が市にはないとし「引き続き、国の動向を注視する」と述べるにとどめた。

 周防大島町の椎木巧町長は上関原発について「難しくなったと受け止めている。原発に代わる自然エネルギー、代替エネルギーの具体的な目標値、工程表を示すべきだ」と指摘。「今後の電力料金の推移も示してもらいたい」と注文した。

 上関原発建設計画に賛成できないとの立場を示し、交付金も受け取らない意志を示していた光市の市川熙市長は「想定していた通りの妥当な判断。原発に賛成できないという国民の声が国を動かしたのではないか」とし、「代替エネルギーを具体的にどう確保していくのかいう国民的議論を進めなければいけない」と力を込めた。

(2012年9月15日朝刊掲載)

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