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「ゲン」中沢さん 訴え熱く 広島・矢野南小 児童と質疑交流

 漫画「はだしのゲン」作者の中沢啓治さん(73)=広島市中区=が、矢野南小(安芸区)を訪れ、6年生150人の質問に答えて交流を深めながら、反戦と平和の大切さを訴えた。

 中沢さんは、体育館で児童に迎えられ、次々に質問された。「つらい戦争の間、心の支えになったものは何か」との問いには「肉親の愛」と回答。「母親が朝から晩まで必死になって働いて、育ててくれた。皆さんも両親やきょうだいと手を組んで一生懸命生きてください」と述べた。

 「何で(原爆をテーマにした)『ゲン』を一番に描かなかったのですか」の質問には、「死体の腐る臭いや当時の惨状がよみがえってきて、思い出すのが嫌で逃げ回っていた。でも、少年ジャンプの編集長が『あんたの好きなだけのページ数と期間をやるから長期連載しないか』と言ってくれた。感動して描き始めた」と説明した。

 「中沢さんにとって『平和』とは何ですか」については、「皆さんと、こうして自由に話ができ、意見を交わせること」と答えた。「戦争、原爆反対と言うのは簡単だけど、なかなか実行できないのが世の流れ。戦争をして喜ぶヤツがいるんだ。それに反対して平和を守ってほしい」と呼び掛けた。

 一生懸命聴いていた土肥真子さん(12)は「家族で話したり、ご飯を食べたり身近なことが幸せ、と実感した。絶対に戦争がいけないことを伝えていきたい」と話していた。

 児童は事前に、平和学習用のDVD「はだしのゲンが言いたかったこと」を見たり、中沢さんの半生を紹介した本紙連載「生きて」を読み合ったりした上で質問を考えていた。(二井理江)

(2012年9月17日朝刊掲載)

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