×

ニュース

原爆症認定を申請 在外手帳交付1号の女性

 海外に住む被爆者として初めて広島市から被爆者健康手帳を交付されたとされる台湾出身の荘司富子さん(86)=米オハイオ州=が18日、代理人を介して市に原爆症認定の申請手続きをした。

 市民団体「台湾の被爆者を支援する会」などが市に書類を持参、受理された。同会によると、甲状腺機能低下症を患う荘司さんの申請は2度目。2009年1月に来日して申請したが、却下された。「長く病気に苦しんでおり、認めてほしい」と話しているという。

 荘司さんは1942年、広島市に住む姉を頼って来日。19歳の時、女子挺身(ていしん)隊として働いていた皆実町(現南区)で被爆した。戦後は台湾へ戻り、貧血などの治療のために再来日した63年10月、手帳を交付された。

 その後、娘の暮らす米国へ移住。01年に広島県医師会の北米健診で病気が分かった。今も寝込むことが多いという。今春、在外被爆者が国に慰謝料を求める集団訴訟を起こしていることを知り、台湾の被爆者を支援する会に連絡。再び認定申請する意思を伝えた。

 甲状腺機能低下症は国が09年6月、原爆症の認定基準見直しで積極認定の対象に加えた。 (田中美千子)

(2012年9月19日朝刊掲載)

年別アーカイブ