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米、5回目新型核実験 超高温・圧で反応を確認

 米エネルギー省傘下の国家核安全保障局(NNSA)が、核兵器の性能を調べるための新たなタイプの核実験をことし4~6月の間に1回、ニューメキシコ州のサンディア国立研究所で実施していたことが19日、分かった。昨年11月に続き5回目。(田中美千子)

 NNSAが同日までに公式ホームページで公表した。実験は、同研究所にある「Zマシン」という特殊装置を使用。強力なエックス線を発生させて超高温、超高圧の核爆発に近い状況をつくりだし、プルトニウムの反応を確認する。

 NNSAは「地下核実験をせずに、保有する核兵器の安全性や有効性を確かめる手段」と位置付けている。

 新たなタイプの核実験は、オバマ大統領就任後の2010年11月に初めて実施。11年には1年間で3回繰り返された。オバマ政権下では、これとは別に臨界前核実験も既に3回行われている。いずれの実験も包括的核実験禁止条約(CTBT)の対象外。

 オバマ政権はロシアと新戦略兵器削減条約(新START)を批准するなど、核軍縮を進める姿勢をアピールする。一方、核関連予算を増やし、核抑止力を維持する政策を貫く。

 広島市立大広島平和研究所(中区)の水本和実副所長は「オバマ大統領は予算獲得を狙う軍需産業の影響と、その意をくむ連邦議会の力に屈し、核なき世界の実現に妥協しているのが実情だ」とし、「今後も核実験は続くだろう」と指摘する。

米国の核実験
 米国は1945年に世界で初めて実施して以来、地上や地下で核実験を繰り返してきた。92年を最後に一時停止したが、97年から核物質に高性能火薬で衝撃を加える臨界前核実験を実施。核爆発が起きないため包括的核実験禁止条約(CTBT)の対象外と主張している。最近は実験室内で兵器の性能を検証する研究にも力を入れる。

(2012年9月20日朝刊掲載)

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