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原子力の安全討議 広島大で学会始まる

 日本原子力学会の秋の大会が19日、東広島市の広島大東広島キャンパスで開幕した。21日まで。初日は原子力政策や安全など、約40の講演や研究発表などがあった。

 14日に政府が示した「2030年代に原発稼働ゼロ」という新たなエネルギー戦略について、講演した原子力委員会の鈴木達治郎委員長代理は「実現には課題が多い。使用済み燃料の管理や貯蔵、廃棄物最終処分への取り組みなど、エネルギー政策全体の改革も求められる」と述べた。

 この日は研究者や学生、原子力関係企業の社員たち約千人が参加した。研究発表では、原発の安全性や福島第1原発の事故メカニズムの解説などが相次いだ。

 学会内の組織、原子力安全検討会は、策定中の「原子力安全の基本的な考え方」について中間報告。人的被害だけでなく環境への放射線被害の防護、規制機関の役割の明確化、安全文化の醸成も盛り込んだ。具体的な方策や手段は今後詰めるとしており、来月中の公開を予定している。

 野村茂雄会長は「原発事故以降、発表や研究は安全性の追求などに大きくシフトしている。活発な議論に期待している」と述べた。21日までに約800の発表がある。(小笠喜徳)

(2012年9月20日朝刊掲載)

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