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回天伝える英書を翻訳 周南の顕彰会 追悼式までの発刊目指す

 周南市の回天顕彰会が、元米軍人の息子たちが旧日本軍の人間魚雷「回天」について書いた英語書籍「KAITEN」を日本語訳して自費出版しようと、準備を進めている。今月中にも翻訳を終え、11月に同市である回天搭乗員の追悼式までの発刊を目指す。

 回天の「菊水隊」は1944年11月8日、同市大津島の基地から初出撃。同20日、西太平洋のウルシー環礁で米軍の給油艦ミシシネワを撃沈した。同艦の乗組員ジョン・メア氏が戦後、息子のマイケル・メアさん(62)=ウィスコンシン州=に当時の状況や思いを語り、「回天が米兵に与えた衝撃を日本人にも伝えてほしい」と頼んでいたという。

 マイケルさんは父や他の乗組員とともに、回天にまつわる日米双方の体験談を収集。元搭乗員たちでつくる「全国回天会」と回天記念館(周南市)から提供を受けた写真などを約320ページの共著にまとめ、2014年5月に米国で出版した。

 父の思いをかなえようと昨年1月、広島市東区の知人を通じて顕彰会の原田茂会長(79)=周南市飯島町=に「出版の手助けをしていただけないか」と手紙を送っていた。

 原田会長は「日米で一緒に回天の歴史を共有できる」と快諾。旧海軍や海上自衛隊のOBでつくる「水交会」(東京都)の会員3人がことし1月から分担して訳し、原田会長と親交がある華陵高(下松市)元英語教諭の上杉進さん(83)=周南市舞車町=がまとめる。

 書籍について原田会長は「敵である日本の回天搭乗員にも敬意が払われている。米国側からの資料は貴重で、日本側のこともきちんと調べて書かれている」と評価する。

 2千~3千部印刷し、回天搭乗員の遺族のほか、「全国の方に読んでほしい」と都道府県立図書館などに寄贈する予定だ。販売方法は今後決める。原田会長は「搭乗員の遺族の高齢化が進んでいる。なるべく早く本を届けたい」と話している。(高田果歩)

(2017年8月13日朝刊掲載)
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