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原子力規制委発足 島根3号機容認に賛否

 福島第1原発事故を受け、原発の新たな安全規制を担う原子力規制委員会が19日、発足した。中国電力島根原発(松江市鹿島町)の地元住民は「40年廃炉」の政府方針に沿って1号機の廃炉を決定するよう望んだ。一方、国が建設を容認した3号機には、稼働に向けた手続きが進むことに賛否の声が交錯した。(樋口浩二、明知隼二)


■1号機
 「福島の事故の反省に立ち、廃炉の決断を」。市民団体「平和フォーラムしまね」(松江市)の杉谷肇代表は訴えた。規制委は「原発40年運転」の政府方針に基づき個々の原発の安全性を点検、稼働の是非を判断するからだ。

 ただ、電力会社が一度に限り20年の運転延長を申請できる改正原子炉等規制法も6月に成立した。「40年基準をどう運用するのか。説明を望む」。溝口善兵衛知事はこの日の記者会見で強調した。

■3号機
 「(政府が建設しないとした)新設原発に含まれないのは決まっている」。松江市の松浦正敬市長はこの日、3号機の稼働を前提に、規制委が安全性を審査するのは当然との認識を示した。溝口知事も「規制委が安全基準を出し、安全対策を決める」とし、稼働自体への異論はない。

 出力が137万3千キロワットと国内最大級の3号機。経済界からは「再生可能エネルギーはコストが高すぎる。地域経済のため、国家全体のために稼働させるべきだ」(島根経済同友会の宮脇和秀代表幹事)との待望論も上がった。一方で島根原発増設反対運動の芦原康江代表は「一度動かせば止めにくくなる。稼働中止の英断を」とし、運転差し止め訴訟の提訴を検討する。

■住民避難
 原子力防災も規制委が担当する重要な任務の一つ。県は、島根原発30キロ圏約39万6千人の避難計画を秋にまとめる。大国羊一危機管理監は「住民避難が必要な範囲と避難の流れを具体的に示してほしい」とする。

 事故発生時の対策拠点となるオフサイトセンターも代替拠点を検討中だが、管理者は国。「住民の安全に関わるだけに、早急に設置場所などの方針を示してほしい」と求めた。

(2012年9月20日朝刊掲載)

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