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留学生が捉えた広島復興 1958年に滞在の米国人女性 カラー写真集を刊行

 1958年、交換留学生として広島市に滞在した米国人女性の撮影による写真集「HIROSHIMA」が刊行された。当時としては珍しいカラー写真で、被爆からの復興が進む街の風景を捉えている。

 後に写真家となったバージニア・クーリーさん(75)=写真・ニューヨーク州=の撮影。「remembering 1945&1958」を副題に、中区の本通りや原爆ドーム、完成したばかりの原爆の子の像、再建された広島城天守閣の姿などを載せる。穏やかな日常風景と対比するように、写真の横には井伏鱒二「黒い雨」やジョン・ハーシーのルポ「ヒロシマ」の一節、被爆体験談など、原爆による惨状を英文で紹介している。

 クーリーさんは58年6~9月、広島に滞在。同じ高校2年生だったホームステイ先の上綱千賀子さん(75)=中区=と、広島大教育学部付属高(現広島大付属高)に通った。日本舞踊や生け花に触れ、宮島を訪れたりもした。同年8月6日には、原爆の子の像の前であった青少年の集いでスピーチもしている。

 核兵器や戦争を巡るトランプ政権の姿勢に危機感を抱いたのが出版のきっかけという。クーリーさんは「多感な高校時代の留学は、文化が違っても人間は感情を共有できると実感させてくれた。核兵器が何をもたらすのか、世界の人に考えてほしい」と話している。

 写真集は判型20センチ四方で、54ページ。洋書として取り寄せるか、中区の複合ビル「おりづるタワー」で購入できる。1620円。(鈴木大介)

(2017年8月17日朝刊掲載)

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