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島根原発 3号機 差し止め提訴 完成後のリスク主張

 島根、鳥取両県の13団体などでつくる「さよなら島根原発ネットワーク」は20日、国が建設を容認した中国電力島根原発(松江市鹿島町)3号機の運転差し止め訴訟を、年度内に松江地裁へ起こす方針を明らかにした。

 福島第1原発事故を受け、運転計画が白紙となった3号機は15日、国が事故後初めて建設続行を認めると表明。完成すれば、原子力規制委員会による安全基準の審査や島根県と松江市の判断などを経て、稼働可能となる。

 同ネットワークによると、訴訟は中電を相手取り、3号機が稼働した場合の事故のリスクを主張する。原発近くの宍道断層(22キロ)のずれに伴う地震発生と原子炉損傷の危険性を指摘。放射性物質が広域に拡散した福島の事故も論拠とする。

 稼働に反対する市民を全国から募り、年内にも3号機の運転中止を訴える新組織を発足させる。提訴に必要な原告団の結成へ向け、足場固めを図る。

 同ネットワーク事務局長の芦原康江さん(59)は「福島の事故の反省に立ち、原発をすぐになくす必要がある。3号機が動けば、政府の2030年代の原発ゼロ方針も骨抜きになる」としている。

 芦原さんは、耐震安全性をめぐる島根原発1、2号機の運転差し止め訴訟の原告団(90人)代表。賛同者を募っている。芦原さんTel090(1336)0629。

 全国の建設中の原発では、北海道函館市の市民団体が電源開発大間原発(青森県)の建設運転差し止め訴訟を10年7月に起こしている。(樋口浩二)

島根原発3号機
 2005年12月に着工。工事進捗(しんちょく)率は最新の公表数値(11年4月末時点)で93・6%。改良沸騰水型の原子炉で出力は137万3千キロワット。総工費約4600億円。沸騰水型の1号機(出力46万キロワット)2号機(同82万キロワット)に比べ発電効率に優れる。

(2012年9月21日朝刊掲載)

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