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国、遺伝影響に否定見解 広島地裁 被爆2世援護訴訟

 国が被爆2世への援護を怠っているのは幸福追求権などを保障した憲法に反するとして、広島や山口など5県の被爆2世22人が1人当たり10万円の慰謝料を求めた訴訟の口頭弁論が22日、広島地裁であった。国側は、親の被爆による遺伝的な影響は認められていないと主張した。

 国側は準備書面で「被爆2世への影響は科学的に認められていない。親と同様の健康診断の義務が国にあるとはいえない」などとした。原告側はこれまでの主張で、日本遺伝学会の見解や各種の研究で、発がんリスクの増加などの遺伝的影響の可能性があると指摘している。

 この日は、広島市や廿日市市の50~60代の被爆2世4人が6月に追加提訴した訴訟の第1回口頭弁論もあり、父が入市被爆した原告の農業森田修さん(67)=柳井市=が意見陳述。「幼少から病弱で、5年前からがんや胆のう炎を相次いで発症した。親の被爆の影響があると思う。何らかの救済措置を」と訴えた。(有岡英俊)

(2017年8月23日朝刊掲載)

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